Wデートって単語はあえてスルーしたけど、着いてからは4人でめいっぱい楽しんだ。


焼きそば、たこ焼き、じゃがバタ、わたあめにクレープ

金魚すくい、射的、建物ごと移動式のお化け屋敷まであって


小学生の頃みたいにはしゃいで。


時間がたつのがあっという間で。


あぁわたし、この思い出があれば、生きていけるよ……。

なんて大げさ?



「ここの祭、最後に隣の運動場で花火やるんだって」

「へえ! じゃあ、早めに移動した方がいい?」


夏祭りは思ったより人が多くて、わたしはすっかりテンションが上がってた。


「あ、じゃあわたしお手洗い行ってきていい?」

「ん、俺も」


ひとちゃんと小野くんがそれぞれトイレに消えた。


わ、そういえば、こうなると、神林くんと2人きり……だ。


神林くんは、さっき買ったかき氷を隣で黙って食べてる。


沈黙……


お囃子が、体の中まで響いてくる。


「笠原」

「ほぇっ!?」


わっ、しまった変な声出た!


「なんだそれっ。な、あいつら、おいてってやろーぜ」


「へ?」