「弥白ーこっちこっち!」

ひとちゃんはいつの間にか、弥白って呼んでくれるようになってて。


こっちに手を振る浴衣の女の子と、その後ろに背の高い男の子が2人。


わ、私服だ……!


そういえば、前にわたしの地元で会った時は、神林くんも小野くんも部活のカッコのままだったもんね。


「ごめんね、おまたせ!」


わたしも、前回はすごく適当な服を着てたから、今日は一応お気に入りのワンピースに細身のジーンズを合わせた。


「なんだー、浴衣じゃないのー? わたし一人で張り切ってるみたいじゃんっ」

ひとちゃんが不満げに見てくる。

「浴衣持ってたはずなんだけどみつからなくて……がんばって探せばよかった。かわいいね!」


うん、浴衣には敵わない、ひとちゃんかわいい。

ひとちゃんはエンジとクリーム色の市松模様に花が浮き上がった、ちょっと変わった浴衣を着ていた。


「じゃー行くか」

神林くんが言って、わたしたちは神社に向かって歩きだした。


半袖のピンクのシャツの前を開けて、中に黒いタンクトップ、下はベージュの半端丈ズボン、それに白いスニーカー。

財布だけ、後ろポケットに突っ込んである。


どうしたってその姿を、目に焼き付けちゃう。

もうこれは、クセ、なんだぁ……。

だめだめ、カッコイイとか思うな、わたし!


「あれ、今日ってこれだけ?」


気をまぎらわすためにひとちゃんに話しかける。


「だと思うよ? ね、Wデートみたい、だね」


ひとちゃん……めちゃくちゃかわいいって!