「かかか神林くん!?」


「何どもってんだよ、笠原って変なやつー。さっき一人で喋ってただろ」


「聞いてたのっ!?」


なんでどうしたの何が起こったの本物!?


神林くんが目の前に立ってる。

エンジのハーパンに黒いポロシャツ、エナメルのバッグ。


「ちょうどよかった、ねぇ、美術室にノコギリとかない? んで、今、使えたりしないかな?」


ほ、ほんとにほんとに本物だぁぁ〜。


「あると思う、よ。行く?」


そんなことくらいお安い御用ですご案内させていただきますっ。


「文化祭の内装用に、切りたい木材があるんだ」


部活前に行くからって引き受けたんだって。


「ノコギリ家にあると思ったんだけど、捨てたらしくてさ〜」


神林家のノコギリ捨てられててくれてありがとう!

おかげでノコギリひく神林くんが見られちゃうなんて、ラッキー以外のなにものでもないよ。