「は〜ぁ。垂れ幕おっきすぎるんですけどー」
文化祭当日、校舎にかけるための垂れ幕はめちゃくちゃ長い。
でも実は、何人かで作るより一人でやったほうが綺麗に仕上がるんだよね。
で、美術部だし適任ってことでわたしに任されてる。
「廊下暑いし! 汗垂れるー美術室でやりたいー」
「……って、つい一人でやってると独り言、言っちゃうな……」
これじゃわたし変な人だー。
朝早く来たからまだ他のクラスの人も誰もいないけどさっ。
「あれ、やっぱ笠原だ」
ほら、幻聴まで聞こえてきた。
「垂れ幕やってんの?」
気にしすぎたかな、もう、いつでも思い描けちゃう男の子。
「笠原ー?」
って。