「だーーーっもうまどろっこしい! あたしがメアドきいてきたろか!?」

「いい、いい、自分でききます! ほら、文化祭の準備もあるし、ずっと会えないわけでもないし、部活でお互い学校にはいるはずだもん」


近所のショッピングモールのフードコート。

夏休みだから、家の近い弓美とは地元で会うことが多い。


そんで、やっぱり、弓美に怒られた。


「だって、なんて言ってきけばいいのかわかんなかったんだもん……」

「クラスメイトなんだからなんだっていーのにぃ。ってのが弥白には難しいのか。文化祭、同じ係ならよかったのにね」

「うーそこはまぁ適材適所だから仕方ないってゆうか……」


夏休みに入る直前、文化祭の出し物がカフェに決まったんだけど、わたしは垂れ幕係、神林くんは内装係だから夏休み中一緒に準備することはないんだよね。


「次! 会ったときうまくつかまえて、そういえばアドレス知らないよねくらいのノリできいちゃいな」

「わ、わかったっ」


ほんとは、夏休み入ってから何回か会ってる。

でもだいたい神林くんは友達に囲まれてるからすれ違う時に挨拶くらいしかできなくて。


楽しそうに話してる顔。

ランニングしてる時の声出し。

たまにわざと体育館前を通ると、汗だくでプレーしてるバスケ部の人たちの中からでも、すぐに見つけられる。


そんなんばっかり、わたしの中で勝手に増えちゃう。