神林くんは、わたしにとってはたしかに、ちょっとだけ特別だけど。
バスケ部のキャプテンで、背も高いし、でも怖くなくて爽やかで、この学年の中ではちょっと目立つ存在だ。
だから、そんな人を好きになるなんてなんだか恐れ多い。
「じゃー次、問4~8あたってるやつ前出て答え書いてー」
午後一の授業が数学なんて、ついてないなぁ。
でも、
「今朝、サンキュな。あたってたとこ書けた」
今朝きかれたところは無事に教えることができて、神林くんはまた屈託のない笑顔を向けてきた。
この笑顔がわたしに向けられることがあるってだけで、わたしとしては上出来なんだよね。
だから……もっと、ちゃんと友達、には……なりたい、かな。
なーんて、贅沢かな?
でもそれくらいなら許されてもいい、かなぁ?