「じゃーねー」
わたしと弓美は最寄も一緒だから、2人で降りて、ホームを滑り出す電車に手を振る。
どっちも疲れてて、改札を出てからはのろのろ歩いて。
4駅なんてあっという間。
ちょっとしか話せなかったなぁ。
「寂しいねー」
「うん……もうちょっと乗ってたかったなー」
「へ?」
「え?」
「えっ何どうゆうこと!?」
あっ!
わー、やばいやばい。
きっと弓美は体育祭が終わって寂しいね、って言ってたんであって。
でもなぜか、わたしの頭の中は、さっきまで一緒に電車に乗ってた人のことでいっぱいで。
わ、わたしも自分でまだよくわかんないんだけど……。
でもたぶん、そうなんだと思う。
わたしも、はたから見たら、ひとちゃんとおんなじことしてる。
気付いたら神林くんのこと見てる。
一緒にいれたら楽しいだろうなって思ってる。
神林くんの声ばっかり聞こえる。
「えと……その、わたし……好き、なんだと、思っ、て……神林くんのこと……」
そういったら弓美はすごく騒いでた気がするけどよく覚えてない。
頭がうまく働いてくれなくて。
家についてもお風呂入ってもベッドに入っても働いてくれなくて。
日焼けの熱さと心臓のドキドキが、ずうっと、ぐるぐる回ってる。