「う~筋肉痛だぁ……」


教室に一人しかいないのに、つい口に出してしまう。


放課後の美術室。

今日は千里先生は出張でいないらしいんだけど、許可はとってあったからひとりで活動中。

風の当たる、いつもの窓際の席。

紙とペンを広げて作業に熱中する。


実は、弓美がもうちょっとで誕生日なんだよね。


プレゼントにはシンプルな写真立てをあげることにしてて。

2人で写ってる写真を焼き増しするつもり。

でもそれだけじゃさみしいなと思って、背景を描くことにしたんだ。

写真立ては、売ってるときは白い台紙が入ってたから、同じ大きさの紙を用意していろんな柄の背景を作って。


ガラガラガラッ


作業に熱中していたら、急に教室のドアが開いた。

「ひゃっっ」

「あ、笠原」

「びっくりしたぁ~」


神林くんが、入り口に立っていた。