「へー、そんなことあったんだぁ?」


月曜から体育祭に向けて朝練が始まった。

うちの高校では、全校が4つのチームに分かれて競い合うんだ。


わたしはかなり早めに来て、後から追いついてきた弓美と一緒に念入りに準備体操した。

高校の体育の授業は球技ばっかりで走ってなかったから、練習でも緊張しちゃう。

わたしは全員リレーと騎馬戦しか出ないんだけど。


準備体操しながら弓美に、リレーの順番を4人で決めた時のことを話した。

もちろん秘密の話は、今回ばっかりは弓美にも秘密だけど。


「学校の外でも会うなんて、運命じゃんっ」

弓美がばしばし背中をたたいてくる。

「な、何言ってるの、たまたまだよ」


相変わらずな弓美に辟易してふいっと顔をそらすと、タイミングのいいことに神林くんがトラックを走っていた。

軽く流してるだけだけど、運動のできる人って感じ。

走り終わると、そのままクラスの男子とふざけあってる。


「あーあー男どもは楽しそうだねぇ、朝から元気すぎ」

朝が得意じゃない弓美はみんなの様子を眺めて呆れてる。

わたしも笑って眺めてたけど、ふと、少し離れたところでおんなじように男子の方を眺めている人たちがいることに気付いた。

全然知らない人たちだけど、たぶん、神林くんたちを見てるんだろうなぁ。

やっぱり、目立つんだなぁ。


端っこにいる自分との距離を感じて、ちょっとだけさみしい。