そのままずっと、わたしにしては珍しく、話題が尽きなくて。

お互いの練習試合のこと、コンテストのこととかも話して。

結局8時半くらいにお店を出た。


駅まで神林くんを送っていく。


「これ、普通逆じゃね?」

「いいよ、地元だから、なんか見送る方がしっくりくる。わたしの家は近いし」

誰かに家まで送ってもらったことなんてないし。


「んじゃ、帰るわ。体育祭、がんばろーな」


たくさんの人が溢れてくる改札前で、立ち止まる。


「う……ほんとーに体育は全部苦手なんだけど……がんばる」

「だーいじょぶだって、一生懸命やって、楽しければそれでいんじゃね? 体育祭なんてさ。それに、リレーなら、笠原とかがもし誰かに抜かれても俺が抜き返すから!」

「ふふ、頼もしいね」


神林くんは最初っから、アンカーって決まってた。

絶対足も速いし、みんなが信頼して応援できる人だから、ぴったりだと思う。


「あ、電車くるんじゃない? じゃあね!」

そう言って見送ると、神林くんは手を振って人波に飲まれていった。


でも、もう一度こっちを向いた。

「今週の放課後、どっかで美術の課題やりに行くわ!」

そういえば、そんな話したっけ。

「わかった、わたしはいつでもいるから!」

少し大きな声で返す。


別に、授業の課題なんだし、わたしがいてもいなくても関係ないはずなんだけど……。


一緒の場所で作業したら楽しいだろうなって、思ったんだ。