「笠原なら口かたそうだし」

神林くんはいたずらっ子みたいな目をして笑った。

「うん! わたし、口かたいよ! 絶対、誰にも言わない。」

「だよな。んじゃ、俺らの秘密な」


秘密、だって。

これまでも弓美となら、たくさん秘密を共有してきたけど。

男の子と、2人だけで共有したのは初めてかもしれない。


こないだから、神林くんのいろんな面を見てる気がする。


「笠原は? 彼氏とかいないの?」

ふいに話題がわたしのことになった。

「ええっ、いたことないよ! い、いたらこんなとこでひとりでご飯食べないもん……」


神林くんてば、びっくりするなぁ、もう。

わたしみたいのに、彼氏がいるわけないじゃん。


いるとしたらむしろ……。

「神林くんこそ、彼女いないの?」


そういえば、なんにも知らないんだ。

学校でも目立つ方だし、彼女いてもおかしくないよね……?


「今はいないよ? バスケが楽しーしさ」

「そ、なんだ……」


今は、ってことは、前はいたのかな?