優しくて、びっくりする。

神林くんの気遣い、すっごく嬉しいよ。


「おー、んじゃまた明日、ガッコでな!」

2人は手を振ってお店を出ていった。

ドアが閉まるまで手を振り返して、机に向き直る。


どうしよ、そういえば、2人っきりだ……。

ざわついた店内で2人っきりも何もないんだけど、動揺した私はとりあえずストローをくわえる。


な、何を話せばいいんだろ?

とりあえず、お礼?

「あっ、ありがと」

「知ってた?」

「え?」

神林くんが急に楽しそうな声で言うから、思わず顔を上げると、目が合った。

「園部。小野のこと好きらしくてさ」

「えっ?」


園部さんが、小野くんのこと?


「だから委員に小野が立候補した後、すぐ立候補したんじゃないかな」


へぇぇぇぇぇ!


「あっ、それで、今も……」

「そ。一緒に帰りたかったんじゃない? 園部が慌てて立つから、面白くってさあ」

「でも、あの2人、おんなじ中学だったって言ってたよね? じゃあ、ずっと?」

「んー俺も気付いたの最近だからよく知らない。ってか、実は俺ひとりの憶測。でもたぶん間違ってないと思う」


よく見てるんだなぁ……わたし、全然そんなこと気が付かなかった。

って、そんなにたくさん話したことなかったから当たり前だけど。


「あっ、コレ、誰にも言うなよ? いや、ずっと誰かに話したかったんだけどさ……笠原だから話したんだからな?」

「へっ?」


一瞬、心臓がばくん、ってした。