でもわたしはそっちを見ない。
「なに?」
机に向かいながら返す。
「今日これから打ち合わせ兼ねてお食事行ってくるから、お勉強終わったら夕飯勝手にしてちょうだい。お金、いつものところからとっていいから」
「わかった、いっていらっしゃい」
「あなた明日からは朝早いの?」
「体育祭の朝練があるからまた早く行くよ」
「そう」
それだけ言うと、すぐドアが閉まった。
ふぅ。
危ない。
勉強さぼってると思われたらまた面倒くさいし。
日曜なのに打ち合わせだって。
お母さんは基本的に仕事の鬼だ。
お父さんもだけど、比べたらお母さんの方が上かな。
でも、わたしがいい成績をとってれば自由にさせてくれるから、成績は上位をキープして
る。
こんなときは無性に絵が描きたくなるんだ。