「26日大丈夫だよ!!!」
『お、まじで? なんかテンション高くね?』
「だって、無理かと思ったんだもん、クリスマスにゆっくり会えるのなんか。お母さんから一日自由権獲得した!」
わたしは待ちきれなくて、部活が終わる時間を見はからって自分から槙十に電話した。
『自由権て。ははっ、ん、でも嬉しい。うわぁーでもそう思うと、俺のほうがごめんだな。24か25にデートしたかったなぁ~』
「いいよ、26日は、クリスマスの後夜祭ってことで」
『後夜祭かよっ。ま、でもいっか。クリスマスにデートするやつはたくさんいるけど、後夜祭は俺らだけのってことだしね?』
「そうそう」
『じゃあデートプランがんばっちゃおっかなっ』
「ほんと? 楽しみにしてるね」
当たり前に思う人も多いのかもしれない。
クリスマスに、好きな人と過ごすこと。
でもわたしたちは、いろんな制限があるぶん、大切にしたいなって思う。
一緒にいる時間とか、なんでもない会話とか。
ひとつひとつが、わたしには初めてで特別で。
だから絶対、後夜祭でもなんでもいいから、思い出に残る日にするんだ。