結局あのままお母さんとは一言も交わさないで、朝になって、学校に来てしまった。
「弥白、今日放課後ちょっとつきあってくれない?」
「今日? 何? ちょっとだけなら平気だけど……」
きいてきたのはもちろん弓美だ。
そのまま教室の隅で手招きしてるひとちゃんのところまで連れていかれる。
「何?」
「弥白、あんた、クリスマスどうすんの」
「……」
「ちょっと、まさか、何も決めてないの!? あんたら付き合いたてでしょーが!!」
「ちょっと弓美、声おっきいって」
ひとちゃんが弓美をなだめるけど、もちろんそれくらいで弓美は大人しくならない。
「これが黙っていられるかいっ」
うぅ。
自分の中でも、どうしたいのか、どうすればいいのか、はっきりしてなくて弓美にも相談できてなかったんだよね……。
わたしが返答につまっていると、後ろから声がかかった。
「なにお前ら隅っこに集まってーやらしーぞー」
「あ」
振り返らなくてもわかる。
……ちょっと鼻声な気がしなくもないけど。
「槙十! もう、風邪治ったの?」
「おーばっちりばっちり」
案の定すぐ後ろに立っていた槙十が、にかっと笑った。
3日会ってないだけなのに、電話もメールもしてたのに、なんだかすごく久しぶりな気がする。
顔を見たら、安心、した。
いろんな意味で。