『大丈夫、たいしたことねーから、週明けには普通に学校行けると思う』

「ほんと? よかった」


地元の駅に着いて槙十に電話をかけると、わりと元気そうな声が返ってきた。


「わたし今回のテスト、がんばったよ。前期末より全然いいから、特別怒られたりしないと思う」

『そっか! よかったーってか、どっちかっていうと俺のがやばいー』


「……あの」

『ん?』

「その、ほんとは、お見舞い行きたかったんだけど、ごめんね? 今日お母さん夕方には帰ってきちゃうから……」

『いいって。風邪うつしたらヤだし、月曜まで我慢する~』

「ん、ごめんね」


『あのさ、弥白』

「うん?」

『あんまり謝られるとこっちまですごいごめんなさいって気分になってきちゃうからさ』


「えっあっ、ごめ、あ゛」


『ははっ、それ、口癖だね。俺は、こーやって弥白が電話かけてくれるだけでたまには風邪もいーかもとか思っちゃうようなヤツだからさ』

「ちょっ、槙十ってば」

『だからあんま、気にすんな~』


「……はい」

『よし。じゃあ、またメールか電話、するよ』

「うん。家着くから、切るね……」


お互いに一瞬躊躇してから受話器マークを押す。