キーンコーンカーンコーン……


「はーい席座って〜答案返すぞ〜」


「げ、数B絶対ヤバい」

「難しかったよね……」


それだけ言い交わしてお互い席に座る。


席替えで奇跡的にゲットした、槙十の右隣。

今日は、左側がぽかんと空いて白けた冬の空が窓の向こうに見えるだけ。



みっちり勉強させられたせいか、今回のテストはどれもまぁまぁの点数だった。


「笠原ー」


この数Bで全部返却されたことになる。


おそるおそる軽めに丸められた答案を広げると、赤いサインペンで72の数字が見えた。

平均は61点。


よかった……!


前回よりは全然いい。


お母さんが喜ぶほどではないけれど、怒られる点数ではないはず。


少しだけ心が軽くなった。


槙十もすごく気にしてたし。


うん、今日帰ったら、電話しよう。