「うわぁーなんかのテーマパークみたい」

「たしかに……順番に見てっていい?」

「うんうん、これ、わたし1日中いられちゃうな~」

「ん、順路って書いてある。こっちかな」


建築美術館は、大きな本館の他にも「建物そのもの」がいくつか別に建てられていて、しっかり見たらかなり時間のかかりそうな美術館だった。


「すごい、かわいい~」


最初に入ったのは、白い壁にこげ茶色の枠、薄い緑の屋根の2階建ての建物。

板張りの床が冬の淡い日の光を反射してる。


「近代建築、って日本では、幕末以降から世界大戦が終わるくらいを指すらしいよ」

「ヨーロッパの建築を輸入した感じだもんね。なんだろ、大正ロマンみたいな? ハイカラだ~」


ぶっちゃけ、来たいって言ったのは俺だし建築に興味があるのも本当だけど、弥白のほうが詳しいんじゃないかな……と、思ってここの話題を出したってのもある。


思った通り、テンションが高い。


よかった、楽しんでるみたいだ。



本館に移っても弥白のテンションは落ちないまま、あちこちきょろきょろしてる。


「あ、見て見てあそこ、ポスター。横文字が右から」

「ほんとだ」


俺も楽しんでるけど、でもやっぱり、弥白のことばっか見てるかも。


まぁ、弥白が楽しそうだからなんでもいいような気がしてくる。