心配で……躊躇したけど、電話をかけた。


『私が、いけなかったんだよね』


笠原はそう言うけど。

俺にはそうは思えない。


笠原のお母さんの考え方がよくわからない。


帰りが遅いことや連絡がなかったことを怒るなら、まだわかるんだ。


でもこだわってるのはそこじゃなさそうだった。

とにかく勉強勉強勉強で、なんでも完璧を求められてるようで。

高校生だからって、起きてる間ずーっと勉強してなきゃいけないのか?


部活とか、友達同士の関係の中で得るものって、たくさんあるんじゃないのか?


俺は、バスケやってて、それが全然なんの役にも立たないとは、思えなくて……。


でもさすがに、そこまで踏み入ったことは言えなかった。


代わりに……って言うのも変だけど、槙十って、呼ぶように言った。


俺が笠原を弥白って呼びたかったから。


前よりいろんなこと、話してくれてるような気がする。

電話もメールも、もっとしようかってなった。


俺、少しは支えられる?


もっともっと、近づきたい。