どうして気付かなかったんだろう。


アドレスと番号をゲットして、勝手に一人浮かれてたんだ。


弥白はあの時、独りで我慢してた。


よくよく考えたら、試合の日も花火の時も、なんかちょっとおかしかったんだ。

元気なかったって言うか……。


そして、文化祭。


俺は、弥白と話したくて、それしか考えてなくて。


でも弥白は、F組のやつらに自分が描いてた垂れ幕を汚されたことで、なぜか自分に責任があると感じて……それを独りで背負ってた。


俺は、一通り話を聞いたあと、話してほしかった、頼ってほしかった、って、言ったけど。

あれは弥白に怒ってたんじゃなくて、自分に腹が立ってたんだ。


つらい時に気付いてやれないで、何が“好き”だよ。

そんなん……押しつけだ。


文化祭が終わってから、俺は、弥白をもっとしっかり見ていようと思った。

弥白が誰かを必要としてるとき、助けられるのが、俺だったらいい。


そしたら、好きになってくれる可能性もあがるかもしれないとか考えたり。


弥白が自分から話す男は、たぶん俺と小野くらい、あ、あと和久井の彼氏とか? だけだし、ちょっとくらい期待してもいいんじゃないか、って思ってた。


でも、また、失敗した。