「わりぃ、俺ちょっと帰んないと」

「えっ、じゃあわたしも帰る」


リレーの順番を決め終わると、小野と園部は帰ると言い出した。


……ここは、2人で帰らしてやるとこだよな。


「俺まだ入れるから2人とも帰んなよ。笠原、食い終わってないし残る」


「おー、んじゃまた明日、ガッコでな!」

店のドアが閉まるまで手を振って見送る。

とっととくっついちゃえばいいのに。

園部がんばれ!

つーか小野をけしかけるべき?


「あっ、ありがと」


出て行った2人のことを考えてたら、唐突に笠原にお礼を言われた。

あ、ああ、残ったからか。


ふと、どういたしまして、と返すよりも。


「知ってた?」

「え?」

「園部。小野のこと好きらしくてさ」

「えっ?」


話したくなったんだ。


笠原なら言いふらしたりしないって気がしたし。

それくらいはわかってきたんだよな。


小野と園部に質問責めにされた笠原は、ちょっと前まで俺を怖がってた(正確には人見知ってた)笠原に重なる。

……俺のポジション、ちょっとは変わった、って思っていいんだよな?

だって俺と話すときは、そんなに困ったりうろたえたりしなくなったもん。


それが嬉しかったから、なんか、共有したくなったんだ。


「俺らの秘密な」