「で、で、何よ? いいことって?」


いつもの昼下がり。

五月晴れの校舎は明るい。

白いカーテンのはためく窓の向こうからは、野球部やテニス部、ハンドボール部の昼練の声が聞こえてくる。


わたしと弓美はいつも通り、生ぬるく温まったお弁当をつつきながら向かい合って座っていた。


「神林くんが……」

「えっ何、ついに認めるの!?」

「ちっ、違うって。と……友達だって言ってくれた、わたしのこと」


今朝、知らない男子に紹介してくれるとき。

「友達?」ときかれて「そ。」と短く答えてくれた。


「友達って思ってるの、わたしだけかなと思ってたから……」


すごく嬉しかった。


「いまさらぁ!? 何言ってんの!!」

「いっ今さらじゃ、ないよ。わかんなかったもん、神林くんに友達と思われてるかどうかなんて」

「はぁー。あんたねー、友達に決まってんじゃん。ていうか、あんたが友達と思ったら友達でいいんだって。たとえばもし知り合ったばかりの人がいたとして、相手が自分を友達だって思ってくれてるのがわかったら、自分も相手を友達だって思うでしょ? そんなもんよ」

弓美の思いがけない力説。

「……ぉお。なんか今のすごい納得した」

「遅い! じゃなくて、そこからラブには発展しないのか!」


相変わらず、美人なのに口調のキツイ弓美に、つい笑ってしまう。