でーと!?
デート、って言った? 今!
思わずケータイの画面を凝視する。
もう、いつもの待受に戻ってる。
ああもう、槙十の、心の中が、見えたらいいのに。
伝わってきたらいいのに。
ねぇ、どうしてわたしと、デート、してくれるの?
期待を持っていいの?
テスト期間は、始まるまではあっという間なのに、始まると1日1日が重くて嫌になる。
でも、それも今日で一段落。
「あーもう、やっと次で最後だなー!」
テストは出席番号順の席に移動して受けるけど、わたしと槙十はもともと隣同士だったから、この4日間もずっと隣の席。
「あ、これ終わったらちょっといい? 俺、調べてきたんだ」
「美術館?」
「そ。高校生タダで入れるらしーよ」
「そうなんだ!」
槙十、ほんとに楽しそうだ。
その笑顔を見てるだけで、わたしがドキドキしちゃうこと、気づいてないんだね?
いったん頭が切り替わってしまうと、テストモードに戻すのが難しい。
先生が入ってきて問題用紙と解答用紙が配られてる間、気を引き締めるのが大変。
あと1時間で、テストも終わる。