『そっか……』
「うん、そんな感じ。ごめんね、誰にもここまで詳しくは話したことなかったんだけど……神林くんだと、なんか、話せちゃう」
『いや、話してくれて嬉しい。俺、あんな兄弟に囲まれて正直うざいなって思ったことあるけど、なんだかんだ仲良いってことだし、やりたいこともやらせてもらってるし……恵まれてんだな』
「素敵な家族だよね」
家族の暖かい雰囲気、ってものに、久しぶりに触れた。
くすぐったかったけど、安心できる空気。
『だから俺からしたら、笠原の進路を何もかもこれがいいんだって決めつける、笠原のお母さんにはちょっと違和感があんだけどさ』
「うーん、難しいね」
『うん、難しい。……ダメだ俺バカだからわかんねぇ!』
「あははっ、いいよ、わたしがきっと、時間をかけて向き合わなきゃいけないことなんだと思う」
ねぇ、知ってる?
神林くんがわたしの問題を一緒に考えようとしてくれてる。
それだけで、勇気がわくんだよ。
ずっと逃げてたけど、ちょっとだけ向き合う気に、今、なってるんだよ?
『あ、そーだ。ひとつ言いたいことあったんだけどさ』