なぜか、今日は話せた。

誰にも話したことのなかったことも。


お父さんは都市開発なんかに関わってる、それなりに有名な人らしいこと。

でもとてもさみしがり屋で、たぶん浮気していること。


お母さんは広告会社の営業で、仕事命で、常に完璧主義な人なこと。


2人はできてしまった溝を埋めるのを諦めた、形だけの夫婦。


それぞれの仕事に没頭して……わたしに、お金はくれるけど、前みたいに時間を割いてはくれなくなった。


中学はお母さんの勧めで私立に入ったんだけど、周りの子たちについていけなくて、今の公立高校を受けた。


初めは反対されたけど、成績トップをキープし、大学もトップクラスへの進学を目指すという条件で許してもらった。


「だから、約束だったから……お母さんが怒ったのは、当然のことなのかもしれない」


順番に話していくと、自分の中でも整理がついてきた。


わたしは、何も口を出されなくなったからって、勘違いしてただけなのかも。

わたしは自由だって。

わたしが生きていけるのは、両親が養ってくれてるからなのに。


「絵を描くのは昔から好きだったけど、中学は特進クラスで部活に入れなかったから、高校に入って一気にはまっちゃって」


ちょっと今回は、のめりこみすぎたんだよね。