【大丈夫だった?】

【うん。テスト終わるまで、直帰しろって言われちゃったけど。今日ほんとにごめんなさい。お兄さんにも、ごめんなさいって伝えて。でもすごく楽しかったよ。ありがとう】


布団にもぐって、ケータイの液晶とにらめっこ。

どこもおかしくないか確認してから、メールを返す。

もちろん、相手は神林くん。


お母さんはもう、自分の部屋に引きこもって仕事をしてるみたいだった。

優秀で、寝る間も惜しんで働いてる、お母さん。

わたしが小学校低学年くらいまでは、つきっきりで勉強を教えてくれたこともあった。

勉強以外にも、なぜかわたしは、大人の人と会う場によくつれてかれたから、マナーとかにも厳しかった。


一生懸命覚えたんだよ。


わたしがいい成績をとったり、周りの大人に褒められると、喜んでくれた。

それが嬉しかった。


わたしが大きくなるにつれて、仕事にかける時間が長くなっていったよね。


正直、お母さんは、仕事をしてる時がいちばん綺麗で輝いてる。

そういう生き方、が、似合ってる人なんだと思う。


でも、じゃあ、わたしは?

わたしは、そういう生き方が、似合ってる?



♪~~~♪~~~♪~~~


目覚まし用にマナーモードを切ったケータイが突然、布団の中で鳴りだした。