神林くんが落ち着かなそうなので、隣に座って眺めてることにした。
ちょっとかわいそうなことしたかな?
むすっとしたまま鉛筆をはしらせてる、横顔。
柔らかい鉛筆がでこぼこの画用紙をなでる音と、時計の針の音が響く。
「……なよ」
ん?
「なんか言った?」
「んなじーっと見てんなよっ」
「えっ、えっ?」
どうやらぼーっと眺めてたはずのわたしの視線が気になったらしい。
「でも、ここに座ってろって言ったよ?」
「座ってろとは言ったけど見てろとは言ってないし!」
「えー屁理屈ーだって暇だしいいじゃーん……」
と言うと、神林くんはますます唇を尖らせた。
それ、も、かわいい!
やばい、わたし、病気かもしれない。
こんな風に男の子にかわいいとか思ったこと、あんまり、ないんだよ?
なんて心の中で悶絶してると、神林くんがまた何か言った。
「ていうか……………………るなよ」
???
「何? まだあるの?」
「だからーっ、さっきのことだけどっ、簡単に触るなよっ」
「へ?」
「笠原ってこんなことするやつだったっけ?」