肯定することは、予想していた。

それに対して、千広はすぐに言い返さなかった。

「見合い相手でも婚約者でも、俺は彼女を幸せにしてやりたかったんだ。

俺が育った環境はどうしようもないくらいに退屈…でも、その分金があるから欲しいものは言えば買ってもらえる。

それがバカバカしくて呆れてた時、彼女と出会った。

彼女も、俺と同じように退屈していた。

自分の育った環境や今過ごしている日常がつまらないって言うようにな」

そこまで言うと、陽平は言い過ぎたと言うように息を吐いた。

「とりあえず、パートナーが欲しかった。

一緒に退屈な日常を変えてくれるパートナーが欲しかった。

1人が無理なら、2人で乗り越えていける――そう思ったから」

陽平は自嘲気味に笑った。