「郁巳といると、いじめられる。この傷も。物もなくなる。もう嫌。」

冷たくそう言って私はその場を去った。

「待ってよ」

郁巳が私の腕をひっぱる。

私は言葉を出さずに振り払った。

でも、やっぱり男。

思ったより力が強くて振りほどけない。

郁巳は引っ張って、私に無理矢理口づけをした。

嫌。優しかった郁巳が怖く感じた。

いつもの優しいキスが、怖い ひどいキスに感じた。

「離して・・・別れて・・・」

泣きながら言った。

中学になってから、泣いたのは初めてだった。