風が冷たくなってきた11月、

あたしは直也に出会った。


 篠田 亜恋   (15)中3
(しのだ あこ)


あの頃、あたしはあたしがどうでも良かった。


「ねぇ、いい男いない?」

「亜恋また別れたの??」

「アイツハズレだったわーー」


次々に彼をとっかえひっかえして遊び放題。

夜はと土日は・・・。


「亜恋ちゃん、今日もありがとう」

「いえいえ♪またね~」


知らないオッサンと

sexしてはお金をもらっていた。

自分が、世の中がどうでも良かった。

あたしなんかいなくてもなにも変らない。

いても意味なんかない。

誰も何も言っていないのに、

あたしがあたしにそう言っていた。

そうしてどうでも良くなって

自分で体も心も汚していった。

そんな汚い、汚れたあたしを

誰も信じてはくれなくなった。

頼ってはくれなくなった。

学校も、一緒にいる子達は

上辺だけのトモダチ。

あたしに親友はいなかった。

家では親にいい顔していい子

なあたしを演じきって、

毎日あたしの休まる場所はなかった。