「奏くん……好きな子…いるんやね……?」












何でだろう…。

私……わかってた気がする。


さっきの返事で奏くんには好きな人がいるって事。

だって……、だってさ……。



そんなに切なく笑うなんて。
私でもわかるよ…。





「好きな子なぁ……ハハッ、何で…?」

「…な…んか……奏くんの持ってる空気が…変わった気がしたねん……勘違いやったらごめん」


私だってさ今まで好きな人がいなかった訳じゃないから。
恋してる人の表情位…わかる。

だからね…



奏くんが恋してるのが…わかってしまう。








「……オレ…」

「うん?」

「……好き…いや、うーん……忘れられへん子がおるねん…」

「初恋の子…とか?」

「まぁ…初恋っちゃ初恋やねんけど。…めっちゃ……好きやった…」



―チクチク―チクチク―



「オレの中では不完全燃焼やったからなー。何で振られたのか今だにわからへんねんけど……」

「………」

「んー…、多分……今でも好きやねん…」



―チクチク―チクチク―チクチク―






胸の中に痛みが走って息が苦しくなった。

チクチクした痛みがだんだんズキンって痛みに変わってるみたい。


触れるだけで…、傷口が悪化しそうだよ。