我ながら鈍臭いと思う。

追いかけて来るって事を予測しながら逃げないなんて…。


私の……












ドジーー!!






「痛いねんけどー!新ちゃんのバカ力!!」

「お前なぁ……。この紐取ってやってもええねんぞ」


そう言って掴まれたのは首の上で結んである水着の紐。

今日の私の水着は“脱子供”を目指して、小春ちゃんと選びに行った水玉模様のビキニ。


ビキニって言っても大人の女の人が着るような色気爆発のようなのじゃなくて…。

白地にカラフルな水玉が散りばめられたホルターネックタイプの水着。


小春ちゃんには…、



「脱子供したいんやったらもっと大人っぽいので攻めないとー…華凛めっちゃスタイルええのに」

って言われてしまった。



いやいや…、小春ちゃん。私にはこれで精一杯だよ。

むしろこれでも自分的には冒険した位。
ビキニなんて…とうとう私も大人の階段への第1歩を昇りだしたんだなーって感じ。




「ちょちょちょちょっ!!ほんまに無理!」

「はー?何も聞こえーん」


また…子供みたいな受け答えして。

たまにさ、新ちゃんの方が私なんかよりよっぽど子供だと思う瞬間があるよ。



「もー、新ちゃん!!」


振り返って顔の位置を見上げた。

目が合った新ちゃんは…少し困ったように首の後ろをかいてる。


叩かれるかと思ったのに「……行くか…」って…。

私の腕を引っ張りながら小春ちゃん達の場所まで歩いて行った。