煩い位に蝉が鳴いて、木から木へ移っていく。

シートを敷いた日陰に腰かけてパーカーを羽織った。


「って、何で美桜が出てくるねん。あの2人ってそういう仲ちゃうやん」

「んー…そうやねんけどぉ……」



パーカーの紐を指でいじりながら下を向いた。

あの日の事は…、誰かに言っちゃいけない気がして…。
私の胸の中に閉まってある。


でもこの煮え切らない気持ちが、奥のずーっと奥の心臓をチクチク刺してきた。



「あれ…?………大地…」

小春ちゃんの言葉に顔を上げたら、プールサイドを大地くん、新ちゃん、諒一くんが歩いてきてる。

真夏の太陽を浴びた3人はちょっとした芸能人より輝いてて、周りの女の子を振り向かせてる。


制服だと隠れてる引き締まった筋肉が見えて…、胸がドキドキ鳴った。




「おー、小春!ええ格好してるやん」

当然…、プールに来てる訳だから私達も水着姿な訳で…。
ビキニ姿の小春ちゃんを見て諒一くんが発した言葉に、自分もビキニだ…って気づいてしまった。


「おっ…前なぁ……。人の彼女をそういう目で見るなや!セクハラやぞ!!」

「ほんま諒一って女の子好きやな。こんなに女の子おるんやからナンパでもしてくればええねん」


大地くんと小春ちゃんに攻められても堪えない諒一くんが可笑しくて、一緒になって笑った。




「…よぉ……」