な…なんで!?
やばい…こっち来ちゃうっ


私は思わず後ろに下がった。

「なんで逃げんの。」


ふと気が付けば至近距離にその人の顔。
私の腕を掴むとぐいと引き寄せられた。

まるでスローモーションみたいに。

何が起きたかわからず、ただ呆然と抱き寄せられていて。

「…へ…っ!?」


私の肩に顔を埋める彼は、ぎゅっと私を強く抱きしめると少し体を離して、その茶色い瞳を私に向けた。

まるで愛おしそうに、目を細めると
手で口を覆って 「やべぇ…」と呟いた。