私が10歳の頃。

雲行きが怪しくなってきた空をじーっと眺めていると、静かな部屋に、電話が鳴り響いた。

『ひなっっ…!???』

「あっおにいちゃん?」

『ひな…お母さんとお父さんがっ−−』


[交通事故で亡くなった。]

衝撃で2週間声が出なくなった私を、お兄ちゃんは毎日慰めて抱きしめてくれていて。
おばあちゃんやおじいちゃんから助けてもらう事もあったけど、ほとんどは二人でここまでやってきた。

だから、お兄ちゃんが居なくなったら、私は何も出来ないと思う。