芽依実は、私と北斗の大切な娘なの。

守優を産んだ後、1人…流産してしまった。

“もう出来ない”と言われたのに、私たち夫婦の元に、授かってくれた子。

涙を堪え、井川を睨みながら車へと行く。



「こちら610野上」



『俺だ』



「北斗…芽依実が怪我をして、意識不明です」



『…何?一から説明しろ』



「携帯を弄ってた井川を注意しに行って、興奮気味の井川に突き飛ばされ…爆発で降ってきたガラスと瓦礫が…ッ…」



『わかった。苺愛…1人で泣くなよ。すぐ向かう』



私は無線を座席に投げると、その場に座り込んだ。

…どうか…。

どうか芽依実を助けて下さい…。



        *  *  *