「…紘雅ぁ、もうちょっと優しく言ってあげなよ…、松山くん、泣いてるじゃん…。」



シクシク、と肩を竦めて泣いている松山くん。



「…んなやつ、どーでもいい。行くぞ、知春。」



紘雅は、スタスタと靴箱へと向かう。



「…ま、松山くん!ファイトだよっ!紘雅なんかに負けちゃダメだよっ!」



紘雅にバレないように、こっそりガッツポーズをする。



「…ち、知春ちゃ〜ん…!「知春ー、行くぞー!」



松山くんが何か言いかけたけど、珍しく紘雅が大声であたしを呼んだので、あたしの意識はそっちに集中。



「…ごめんね、松山くん!また教室で会おうねっ!」


あたしは松山くんに手を振ってから、紘雅の元へと急いだ。