お店の表にはファンらしい人がたくさん集まってる。



裏口を出ると、そこにもファンらしい人が数人いた。



「あれって、伊吹心平????」

その中の一人が声をあげると、どんどん人が集まってくる。



「まじ?ヤッバ逃げなきゃ」

そう言って、心平はあたしの手を取って走り出した。



あたしはそのスピードについていくのが厳しい。



ファンはしつこく追いかけてきて、怖い。



息が苦しい。



いくつもの路地を曲がってビルの物陰に隠れた。


ここはたくさん段ボールが積んであるから隠れやすい。



「はぁはぁはぁ〜めっちゃ…走った」

道路に倒れこんで言った。



「う…ん久々」

息を切らせながら言った。


手は繋がれたままだった。