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「あら、いたの?ロベルト」


奥の部屋に戻るとロベルトがテーブルの前のイスに座っていた。


「ああ。客が来ていたみたいだな」

「ええ。実亜さんという方が来ていたわ。皆と仲良く暮らしたいと」

「ほおー、そりゃ久しぶりに聞くまともな願いだな。だが、来た時は復讐がしたいと言っていたみたいだが?」

「聞いていたのね。でも、あの子が本当に思っていたのはみんなと仲良くなる事。だから、引き出してあげたのよ」

「リーアが人に必要以上に干渉するなんて珍しいな」


ロベルトはニヤリと嫌な笑みを浮かべながらからかう。


「復讐にも色々あるわ。相手を苦痛にさせると言う意味では同じだけど、復讐する者にとって、どれだけの重さになるかは違う。あの子は尤も重くない、と言うより、尤も誇らしい復讐を選択しただけの事」

「お前は何時までも甘いな」

「そんな事無いわ。幸せになる為にはそれだけの不幸を対価に差し出さなければならない。そして、その幸せを掴み取る時が今だっただけの事」


あの子が此処に来たのも必然。


あの子が私の言葉で本当の願いを言う事も必然。


グルグルと目まぐるしく変わる世界の中で、起こる事全てに意味がある。


唯、それに気付ける者は少ない。


それに、気付けたとしても毎日起こる数多の出来事に1つ1つ意味を見出していくなんて無謀。


だから、数多の出来事の中で、これだけは意味があると強く思う事だけで意味がある。


私はそれに従っただけ。


あの無垢で純粋な心だけは汚したくなかった。