「分かりました。それでも構いません。今の状況が少しでも変わるなら、クラスのみんなとまた仲良くなれるなら、私は願います」

「分かったわ。少し待って頂ける?」


リーアさんはそれだけ言って、館の奥の方に行ってしまった。


その後、直ぐに戻ってきてた。


「では、これを持っていて」


渡されたのは、良い香りのする匂い袋みたいなもの。


「これは?」

「これは実亜さんの願いを叶えてくれる魔法の匂い袋よ。いい香りがするでしょう?」

「はい、甘い香りがします」

「それが実亜さんの願いの強さによって効力を出すわ。だから強く願ってね」


これが、願いを叶えてくれる。


私の願いを、どうか叶えて。


私はその匂い袋をギュッと強く握りしめた。


「もう、願いは受理されたわ。お帰りになられて結構よ」


すると、リーアさんは立って、玄関に手招きをした。


「はい、ありがとうございました」


私もそれに続いて立って、ペコリと頭を下げ、玄関の方に向かった。


「お礼を言われるほどでもないわ。それが仕事ですもの」


リーアさんは少し口角をあげて微笑んでいた。


さっきまではずっと無表情だったから、怖い感じもあったけど、今のリーアさんは少女のような感じで可愛かった。


「では、さようなら」

「あ、ちょっと待って」


私は帰ろうと、外へ行きかけていた足を止めて、振り返った。


「どうしたんですか?」

「その匂い袋、肌身離さず持っていてね。どんな時もよ」

「はい、分かりました。」

「さようなら」

「さようなら」


そして、私は此処を去った。