「と言うより、俺達は人間に情を抱いてはならない。だろ?」


ロベルトが寂しそうに言う。


「敢えて、言わなかったのに。ロベルトは貴方が1番言いたくない事を言って、傷つくのね。昔から.......」

「リーアが辛そうだったからだろう?昔、人間に情を抱いた事で失ったモノは大きかったからな」


ロベルトは俯き、表情がよく分からない。


いつもそう.......


貴方はいつも、私の苦しみを一緒に背負ってくれる。


貴方だって、私と同じように苦しいのに......


私の事より、自分の事を考えてよ。


ロベルト........


「別に。私が失ったモノなんて大きくなかったわ。それより、実亜さんのこれからを見守りましょ」

「ああ、そうだな」


暗い顔のままのロベルトは実亜さんの事なんて、どうでもよさそう。


「今は、私達の昔話を語る時じゃないのよ。そんな返事しないで。この仕事は生半可な気持ちで出来るものじゃないの」


私が厳しく言うと、ロベルトは我に返った。


「悪かった」

「さあ、見守りましょう。実亜さんと弓良さんの今後を」


私達はまた、水晶の中を覗き込む。