私は水晶を手に取り、ロベルトの前のテーブルに、埃の被った布を置き、綺麗に磨かれた水晶を置いた。


「さあ、実亜さんはどうするのかしら?」


私はロベルトの向かいのイスに座った。


「見物だな。久しぶりにわくわくするぜ」

「久しぶりじゃなくていつもでしょ?」

「まあな」


ロベルトは緑の瞳に赤い髪。


顔も整った顔立ちで、ワイルド系のイケメン。


人間の前に出れば、モテるだろうに、趣味は人間の醜い所を見る事。


だから、この館に籠って、外には出ない。


人間は嫌いらしい。


「そんなに人の醜い部分見て楽しい?」

「ああ、楽しいな。醜く、愚かになっていくほど、心が壊れて、狂乱する。何しでかすか分からない。それが楽しい」


言葉では、こんなこと言ってるけど、瞳は悲しそう。


「楽しいじゃなくて悲しいの間違いじゃない?」

「うるせぇ」

「ほら、図星」


その言葉に、詰まったロベルトは話を変えてきた。


「それより、水晶見ようぜ」


本当は、貴方の方が優しいものね。


私は心の中でそう言って、ロベルトに返事をする。


「ええ、そうね」