「そうね。あの子は人の不幸を願った。だから、てっきり、最終的には死ぬと思っていたわ。でも、違ったみたい」

「実亜という奴が現れた。だからだろう?」

「そう。でも、人の不幸を願ったのは事実。だから、躯にはキズがつくわ」

「人の不幸を願うと言う事は自分も不幸になると言う事だからな。仕方ないんじゃないか」


私達も万能じゃない。


願う者の願いを対価をもらって叶える。


其処までしか出来ない。


客と主との間に契約が成立していなければ、両者の体に一生消えない傷が出来てしまう。


だから、あとは彼女達を見守るだけ。


「弓良さんも大丈夫よ。言葉は鎖。でも、その鎖を解くのも言葉。実亜さんが必ず解いてくれるわ」

「なななな、何言ってんだ?俺は何も言ってねーぞ?」


凄い慌てぶりに私は思わずクスリと笑みを零してしまう。


何も言ってなくとも分かるわよ。


貴方は冷淡な事を言いつつ、本当は優しい人。


さっき、仕方ないと言った時だって、悲しそうだったもの。


敢えて言わないのは、ロベルトはツンデレさんだからね。