「今回“も”よ。
過去にもたくさんあったでしょうに、まだわからないの。

私にあなたたちを守る理由はないわ」

「しかしこのままだと.....」

「何か忘れていない?」

二人の男は、なぜか動けなかった。

なんだろう、この張り詰めた空気....。

そう、かすかに感じる、恐怖。

なぜ。

相手は美しいひとなのに。


「私は魔女。万物と語らう魔女。もし地底生物が現われなかったら、私があなたたち人間を殺していたかもね。
それだけの力、それだけの非道さも兼ね備えている。
だから、今ここであなたたち二人を殺せるわ。昔恐れられた魔女の力によって」

すると彼女はどこから出したのか、細身の短剣を持ち、彼らに向けた。

「女が持つものじゃ――」

ジスは取り上げようとしたが、それは宙に浮き、彼をねらって暴れはじめた。

「局長!」