「何か手伝いましょうか?」

冷まし終えたケーキを切っていた彼女にそう声をかける。

「結構です。逆に邪魔なので向こうで待っていて」

そうは言われたが、彼女のキッチンに立つ後ろ姿は誘惑の何物でもなかった。

ジスはすっと後ろから抱きしめようとするが、彼女との間わずかのところで、頭と手に衝撃が走る。

「ぐぉッ‥」

そのまま仰向けに倒れてしまった。

「そうそう。私のまわりには“ごくたまに”電気が流れるの。」

と、彼女はケーキののった皿をお盆にのせて振り返った。

倒れたジスに視線をやると、

「むやみに近づかないように」

そのままテーブルへと運んでいった。