『桜さん?』

聞き覚えのある声で、

目に入っていた力が緩む。

『何してんすか?』

目を開くと聖君がいた。

『あ、暑いから散歩。聖君は?』

『同じ理由っす。』

『幽霊かと思ったよ!』

私は1人で笑った。

聖君が静かだ。

『聖君、静かだね?』

『朝はほんとにごめんなさい!

やっぱ人それぞれ好き嫌いあるし…

なのに俺、止めといた方が良いですよって無神経なこと…

ずっと謝らなきゃって思ってて…』

聖君が申し訳なさそうに頭を下げる。

『ううん、あつは…最…低…だったよ。』

『えっ?』

『あつは、体とお金目当てだったの

利用されてたんだよ。

聖君の言うとおりだった。』

『…』

明日確実に目腫れるな。

『俺達がいますよ。』

『え?』

『桜さんには俺も健太も加奈美もいます。

年下で頼りないかもですけど。』

頭をポリポリと掻く聖君を見つめた。