教室に着くと、あつはあたしの席に座っていた。

『7組って広くね?』

あつの言葉が静かな教室に響く。

『窓が透明だからじゃない?』

『そっか…』

お互い何も喋らない。

『俺…桜が好きだわ。』

最初に沈黙を破ったのはあつだった。

って…えっ?

私の口はポカンとあいている。

『なんだよ、その間抜け面!』

あつが笑った。

『うん…あたしも好き…』

『じゃ、付き合お。』


「止めといた方が良いですよ」


『あ…付き合うとかまだ考えてなくて…


もうちょっと待ってもらっていい?』

あつを信じていないわけじゃない。

でも、聖君の目は嘘をついていない。

『分かった、じゃあ偽恋人だなっ!』

あつは笑いながら教室を出て行った。