『もういい!別れる!』

その声が家中に響いたのは、

3日後の朝だった。

『加奈美―?どしたの?』

『今日聖が一緒に過ごせないって。』

『そっかぁ。』

一瞬、あつの顔が頭によぎる。

あつには、あの時の記憶はなかった。


ピーンポーン


家のチャイムが鳴った。

『はーい。』

扉を開けると聖君と男の子がいた。

『おじゃまします。』

聖君の手にはケーキの箱。

そう、今日は加奈美の誕生日。

『だれー?』

加奈美が玄関に顔を出した。

『誕生日おめでとっ!2人から!』

男の子の手からプレゼントが渡される。

『っでも、今日一緒に過ごせないって…』

『サプライズだよ!』

ニカッと笑う聖君に、私は吸い込まれそうになった。

ほんと…あつそっくり。

『お姉さんも、ケーキ食べません?』

男の子が聞いてきた。

『や、でも…悪いよ!』

『全然悪くないっすよ!』

そうして、私達は子供部屋に向かった。