それから30分がたって、

男の子達は帰って行った。

『お姉ちゃん、ごめんね!部屋借りてた。』

『全然いいよ!』

私は着替えをしに部屋に戻った。

あつは、あの小説のせいでおかしくなっちゃったんだ。

今頃もとに戻って私を恨んでるんだろうな。

そう思うといつのまにか泣いていた。

あつ………


ガチャ


扉が開いて、目の前には男の子がいた。

一瞬、あつに見えた。

『ご、ごめんなさい!』

男の子は扉を閉める。

『ううん、忘れ物?』

涙を拭いて、扉越しに男の子に問いかける。

『あ、はい。』

『入って見て良いよ!』

そう言ってから私は扉を開けた。

『ありがとうございます。』

男の子は部屋を見渡す。

沈黙に耐えきれず私は聞いた。

『加奈美の同級生?』

『あー、かれ…し…ですかね?』

『そっか…大事にしてあげてね。加奈美、泣き虫だから。』

『はい。俺、山本聖っていいます。』

聖君は忘れ物を見つけて扉を出て行った。

聖君…か…。