ああ、それはそうと、何かいいことないかなぁ…

 俺、今年厄年かよぉ。

 ロクな事がないやい。

「…兄貴、何やってるの???」

 俺がさっきくしゃくしゃにしかかった求人情報誌をまた最初から凝視し始めると、後ろのほうで聞き覚えのある声がした。

「あ????」

 俺はうざったそうにその声のする方を振り返ると、見覚えのある女子高生風のギャルが呆れた顔をして突っ立っていた。

「兄貴、こんなところで何してるの?仕事は?営業は?もう終わったの?」

 ちっ、母親より口うるさい奴が現れたよ。

 この女子高生風の少女、俺の妹で名を青年 乙女と言う。青年で乙女だなんて、よくもまぁうちの両親はふざけたネーミングを考えるもんだよ、とその息子でさえも突飛な発想力に呆れてしまうのだが、何やら「乙女」の名の由来は、母親が妊娠中に偶然食べてたイチゴの銘柄が「とちおとめ」ということからだというのだから、またもやフザケたエピソードである。

 そんな俺の名の由来は一体どこから来たのか、また何故カタカナなのかはナゾなのだが、まぁそんなことはどうでもいいが、フツー、子供に名前を付ける時って何か夢や希望を託して・・・ってのが当たり前だろう、と思ってた俺にしてみれば拍子抜けする両親である。